なぜ空き家は売れないのか?

総務省統計局によると平成30年の国内の空き家は846万戸と過去最高を記録しています。
何故、これだけ多くの住宅が空家のまま放置されているのでしょうか?
理由は様々ありますが、一番大きな問題は「売れない」からです。

どうして空き家は売れないのでしょうか?

まず第一の理由は

総務省統計局 平成30年土地・住宅統計調査住宅数統計数集計 結果の概要

建物が古すぎる

空き家が売れない最大の理由は「古い」ということです。
ほとんどの空き家は1981年に改正された建築基準法以前の旧耐震基準で建てられているため耐震性のが低く安全性に問題があるため建物の価はほとんどありません。
ですから、建物を解体し更地にした方が「早く」「高く」売ることが出来ますが、「いつ売れるか?」「幾らで売れるのか?」が、分らない時点で先に解体費用を支払うということにたいして心理的ブレーキがかかってしまいます。

また、売却する際にはお隣との境界はハッキリとさせておく必要がありますが、建物が建てられたころは現在のように土地の価格も高額ではなかったため、今日のように隣地との境界をハッキリとさせていないことも多くありました。
ですが、現在の都市部では10cm境界線がズレただけで数百万円の違いを生むこともありますので、隣接している地権者の方とすんなりと境界の確定をさせることが出来ないことも多くあります。
当然、このような交渉や境界確定の手続きを行うためには土地家屋調査士に依頼をすることになり、やはり費用がかかってしまいます。
勿論、土地が数千万円と高額で売却できるのであれば、このように費用と手間をかけてでも売却したいところですが、売れるか売れないかが分からない。
また売れたとしても手間と費用をかけた以上の金額で必ず売れるとは限りませんし、あるいは僅かな金額しか手元に残らないという理由で、そのまま放置されてしまっています。

土地に問題がある

建物を建てる場合、建築基準法や都市計画法に基づき建てなければなりませんが、その建築基準法ができたのは昭和25年(1950年)
また都市計画法は昭和43年(1968年)で、昭和25年以前に建てられた家や、都市計画区域等に指定される以前に建てられた家の中には建築基準法に規定されている接道義務を果たしていない物件が存在します。

接道義務とは、建築基準法上で「建築物は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」とされおりこの規定ができる以前の建物はそのままでわざわざ取りこわす必要はないのですが、建替えて新たに再建築が出来ないことになっています。
このような新たに建物を建てることが出来ない土地は、担保価値がほとんど無いので金融機関から融資を受けることが出来ませんし、そもそもその様な建物を建てる事が出来ない土地を購入する人がいません。

不動産業者が売りたがらない

そして空き家が売れない最大の理由に不動産業者が売りたがらないからなのです。
なぜ売りたがらないのか、それは手間がかかる割に利益が少ないからです。
不動産会社の儲けのしくみは、不動産の成約時に発生する仲介手数料です。仲介手数料の計算方法は売買金額によって変わり売買金額が200万円以下は5%、200万円を超え400万円以下の場合4%、400万円を超えると3%となります。

つまり売買金額が200万円であれば
200万円×5%×消費税=11万円
です。

300万円の場合は
300万円×4%+2万円×消費税=15.4万円
となります。

この2万円は200万円以下の手数料が5%ですので、その差額の2万円がプラスされるということになるからです。

500万円になりますと
500万円×3%+6万円×消費税=23.1万円
で、同じくこの6万円は200万円までの5%との差額の2万円と200万円を超え400万円との4%ととの差額の4万円がプラスされています。

仲介手数料は、売買金額により変動しますので売買金額が3,000万円であれば
3,000万円×3%+6万円×消費税=105.6万円
となります。

建物が古く土地が狭い再建築が出来ない物件は、当然高額で販売することは出来ず500万円で成約をしたとして約23万円しか受けるとことが出来ません。

しかも販売にかかる手間は3,000万円の中古マンションを売買する以上に築年数が古い空き家の方が手間がかかってしまいます。
手間がかかる上に手数料が少ないとなれば、当然不動産業としては販売活動を積極的に行うことがないということになります。

以上のような様々な理由があり全国に売れない空き家が放置され社会問題となったため「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が平成26年11月に国会で成立しました。

この法律では、

・空き家の実態調査
・空き家の所有者へ適切な管理の指導
・空き家の跡地についての活用促進
・適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定することができる
・特定空家に対して、助言・指導・勧告・命令ができる
・特定空家に対して罰金や行政代執行を行うことができる

と以上のように定められ大きなポイントとして適切に管理されていない空き家を「特き定空家」に指定することが出来るようになったことです。